1717年 享保2年 創業
初代紙屋安兵衛は、約300年前の享保2年(1717)、近江町市場で魚問屋を開業したと伝えられています。これは、近江町市場ができた頃と重なり、紙安の歴史はまさに近江町市場とともにはじまりました。安兵衛は、もとは漁師であったため魚の知識が豊富で、奉公先の問屋をまたたく間に立派な魚問屋にしたといいます。この仕事ぶりに注目した、薬種商中屋彦十郎(現株式会社中屋彦十郎薬舗の祖先)らの後押しで、近江町に魚問屋を開業し、「紙安」ののれんを掲げることができたのです。
写真:明治23年頃の紙谷太三郎商店、年頭の引札
1717年 享保2年
やがて創意工夫に富む安兵衛の商いぶりは藩にも聞こえ、城中への出入りが許され、「紙屋」の姓を与えられました。以後、明治の初めまで当主は代々、紙屋安兵衛を襲名しています。また、初代安兵衛は、魚を売るだけでなく、お茶の盛んな金沢の町ならではの新しい茶席料理を考案し、茶道の発展にも貢献しました。「養楽庵」という茶式料亭を繁盛させ、このことは、藩政時代の有名店を紹介した小冊子「商家繁盛宝の入り船」にも掲載され、人気を集めたと伝えられています。
写真:菩提寺名願寺に残る『過去帳』などをまとめた紙谷家の記録
参考文献:『金沢魚商百年の風光』より
1953年 昭和28年
1965年 昭和40年 中央市場開場
金沢駅西に開設された中央卸売市場開場にともない、近江町から中央市場へと、仲卸をとりまく環境は大きくかわりました。紙安も、近江町にヤマカ水産株式会社を新たに設けて残し、本業の仲卸を中央市場内に開設し、本社社屋を移設しました。
写真:昭和40年頃の紙安(北國新聞社提供)
参考文献:『金沢の老舗』北国出版社
2016年 11月
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